霧は晴れそうにもない。沢のほとり、林のあたりで、何やら冴えた声で鳥が啼く。うっとりとよい心持になる。歌舞伎座も八百膳も用はない。このまま一生ここにいても悪くはないと思う。が、そうもならない、この霧は昼過ぎにでもならねば晴れまいという。残念だが六万平を思い捨てて湯の宿へ帰ることにした。  霧の中を下へ下へと急ぐ、急に明るくなって、遠くの山が一角を現わすかと見ると、忽ち暗くなって、すぐ前の林をかくす、歩一歩、早川渓の水声が高くなって、吾らはいつか宗平の家の前に立った。  俄に雨が降り出したので、洋傘を借りて、霧繁き草道を、温泉へ帰ったのは十時頃であった。  昨夜帰らないので、宿では迎いを出そうとしたそうだ、しかし宗忠もついているから、たぶん湯島へ泊ったことと、終に見合せたといっていた。  生温くとも湯に入った心持はわるくはない。 名古屋熱田区の指圧マッサージ|てもみ処ひまわりクレジットカードあれこれ 【無料HP Chip!!】