と、壁のそばに立っている方の博士が、すぐ抗議した。「蜂矢君。早く繃帯をとってくれたまえ。繃帯をとっても、血一滴、出やしないから心配しないで早くやってくれたまえ」 蜂矢は、ふたりの博士の間にはさまって、迷わないわけにいかなかったが、とにかく繃帯をといてみれば、どっちがほんものかニセかがわかるかもしれないと思い、ついに決心して壁の前に立っている博士の頭へ手をのばした。博士は何かいおうとした。がもうひとりの博士が、機銃みたいなものを、いっそうそばへ近づけたので、顔色をさっと青くすると、おとなしくなった。 蜂矢は、その機に乗じて、長い繃帯をといた。なるほど、繃帯はどこもまっ白で血に染っているところは見あたらなかった。ただ、その繃帯をときおえたとき、博土の頭部をぐるっと一まわりして、三ミリほどの幅の、手術のあとの癒着見たいなものが見られ、そのところだけ、毛が生えていなかった。

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