「林さん、新しい袷なんぞ着て粧しているんだね」と、お絹は仰向いて男の姿をながめた。 「むむ、これか」と、林之助は袷の膝をなでた。「そら、いつか話したことがあるだろう。この四月に新しく拵えて、一度も手を通さねえで蔵入りにした奴さ。秋風が立っちゃあ遣り切れねえから、御用人を口説いて二歩借りて、これと一緒に羽織や冬物を受けて来た」 「不二屋へ運ぶのが忙がしいから、身のまわりなんぞには手が届かねえのさ」と、お絹は笑った。「御用人さんに二歩借りて、それをどうして返すの」 「都合のいい時に返すのさ。まさか利も取るめえ」と、林之助も笑った。 「おまえさんにも都合のいい時があるのかしら。ちょいと、お前さん。この蒲団の左の下から紙入れを出して頂戴な」  言われた通りに林之助は紙入れを取って渡すと、お絹はそのなかから二歩を出した。 「暇を貰おうという矢先きに、借りなんぞあっちゃ拙いから、よくお礼をいって、御用人に早く返しておしまいなさいよ」 「だが、こっちも病気で物入りの多いところだろう」と、林之助は手を出しかねて、もじもじしていた。 頭皮のかゆみ大地の力シャンプー 300ml|(有)テンプル・ビューティフル - エドガー ...