中間の提灯を差し付けさせて、平助は堤の裾にしゃがんで草履の緒を立てていた。どうにかこうにかつくろってしまって、さて振り返って見ると、そばに立っているはずの大三郎の姿がどこかへか消えてしまったのである。二人はおどろいた。子供のことであるから、あるいは自分たちを置き去りにして先に行ったのかとも思ったので、二人は若さまの名を呼びながら後を追ったが、半町ほどの間にそれらしい影は見えなかった。いくら呼んでも返事はなかった。ただ時々狐の声がきこえるばかりであった。 「狐に化かされたんじゃあるまいか」と、又蔵は不安らしく云った。 「まさか」と、平助はあざ笑った。しかし彼にもその理窟が判らなかった。自分がうずくまって草履の鼻緒を立て、又蔵がうつむいて提灯をかざしているうちに、大三郎の姿はいつか消え失せたのである。わずかの間にそんなに遠いところへ行ってしまう筈がない。呼んでも答えない筈がない。殊にあたりは往来のない暁方であるから、誰かがこの美少年をさらって行ったとも思われない。平助は実に思案に余った。歯科 ホームページ制作クレジットカード風SEO対策:So-netブログ
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